「セルフダイブ」や「バディ潜水」というワードを耳にすることもあると思いますが、正直なところ、そのやり方や内容を把握できていない初心者ダイバーの方も多いのではないでしょうか?

Cカードライセンス取得後のファンダイビングとはどう違うの?実際どれくらいのレベルになるとできるもの?そのリスクやメリットは?などなど・・・

ダイビング歴25年1万本以上の経験本数をほこるプロダイバーで気象予報士の関田が、Q&A方式でお答えしていきます。

第一回目の今日は、「セルフダイブ」や「バディ潜水」とはそもそも何?です。

 

Q「セルフダイブ」や「バディ潜水」というのはそもそも何ですか?
A一言で言えば、「プロのガイドを付けないでバディのみでダイビングをすること」を言います。タンク貸しをやっている現地型のダイビングサービスで、タンクのみをレンタルして潜るスタイルです。

Qごめんなさい、ちょっとわからないんですけど・・・そもそもCカードを取得したらバディ同士2人で潜れるんじゃないんですか?


A日本のダイビングの一般的なスタイルは、Cカードライセンス取得後も、プロのガイドを付けて潜ることが一般的です。いわゆる、ダイビングショップに予約してのファンダイブというものがそれにあたります。

Qあ、Cカードだからダメ何ですか?BやAカードの上級者ならガイドなしでOK?
A ダイビングのライセンスカードを「Cカード」と言いますが、これはレベルを指すものではありません。CカードのCは、Certification Cardの意味で、つまり認定証という意味になります。ですから私が所持しているインストラクターのカードもCカードです。どうしてCカードライセンスを所持しているのに、ガイドを付けるのか?は別質問でお答えします。

Q「セルフ」と「ガイド付き」の2つのスタイルがあるということですね?
Aそうです。例えば、富士山登山など山登りをイメージしてみてください。夏の富士山は、ゾロゾロと人が登りますね。前の人に付いていけばルートもよくわかるので、お友達同士で勝手に登こともできます。反面、何かあった時のことを考えると、山岳ガイドなどを付けて登ことも出来る。
美術館でもいいです。スタスタと館内を一人で歩きまわっても良いですし、もっと詳しく知りたい場合は、美術館入り口で、音声ガイドを別途レンタルして聞きながらまわることも出来ます。

ダイビングもそれと似たスタイルの区分けがあるということです。

厳密にいうとこの他に、「単独潜水」というのもありますが、これについてはそのリスクなどから色々な考えがあり、今の日本ではまだ市民権を得ていない潜り方になります。単独潜水者には、タンクレンタルを許可していないサービスも多くあることからもお分かりいただけると思います。

Qどうして日本では、Cカードを持っているのに、ガイドを付けたダイビングが一般的なんですか?
Aまずは、レベルや技量の問題です。ライセンスをとったばかりの初心者のうちに一人で完全に潜れる方は極めて稀です。潜降や浮上、中性浮力など、インストラクターガイドのサポートが必要と思います。

次に、器材の問題です。初心者のうちはライセンスがあっても、器材をレンタルする方が多いのではないでしょうか?器材をレンタルする場合は、プロショップに行ってレンタルしないとならず、また細かな使い方も教えてもらいたいところです。器材もレンタルするし、であればインストラクターガイドを付けて水中もフォローしてもらおうという考え方です。

そして、他には、万が一の時の保険の問題があります。ショップツアーに参加していれば大抵の場合、ショップ側が加入している保険で担保されます。一方で、タンクのみのレンタルでバディ潜水となれば、無保険状態で、何かの時のリスクはとても大きいものになります。潜る度に都度、レジャー保険を個別に加入しても良いのですが、かなり面倒なのとコストがかかります。

受け入れ側の海の問題もあります。日本では、「海は漁師のもの」という考えが支配的です。漁業権を持つ漁師が漁をやっているところに、レジャーダイバーがめちゃくちゃ潜ってきたら・・・漁師は、食っていけません。単純に仕事の邪魔です。
潜水エリアとして認められていないポイントへ勝手に潜っていると、密猟と間違えられて通報されて警察が来た!なんてケースまであります。

そうしたことから、日本では、プロショップやガイドインストラクターを付けないダイバーに、タンクをレンタルさせないサービスも多く、そもそも、セルフダイブやバディ潜水を認めていない現地型ダイビングサービスも多くあります。

 

これはオマケですけど(笑)日本でセルフがあまり流行っていないことの理由の1つに、これまでの歴史的な背景があります。

 

日本のプロショップの多くは今でも、お客様をダイバーにした後も継続的にショップを利用して潜って欲しいのです。勝手にセルフなんてされたら困るんです!インストラクターも食っていけないのです!ですから、ショップツアーを勧める。ほんとは、ライセンス取得する時に、Cカードそもそもの意味とか、セルフダイビングのこととか?ぜ〜んぶしっかり説明したら良いんですけど、それをあえてしてこなかった。そんなこともセルフダイビングへの理解が広まらない一つにあります。

 

「セルフダイブ」や「バディ潜水」について、少しイメージがつくようになったでしょうか?次回は、セルフをやるのにはどれくらいの技量が必要なのか?その条件は?をお届けします。